泡沫眼角-ウタカタメカド-
* * *
ぼんやりと目が覚めた。
体を起こしただけで頭がガンガンする。
あー…完っ全に二日酔いだ…
気持ち悪いわ情けないわで、未だにフラフラする体を落ち着かせて布団から出ると、丁度下から母の呼ぶ声が聞こえた。
「おー、今行くから…」
寝起きのぼーっとした声。
階下に降りて顔を洗うと少しすっきりした。
普段のワックスもつけていない前髪が濡れて顔にかかる。
寝癖ヒデぇなー
鏡に向かっていると母が洗面所に顔を出した。
「炯斗、早くしな! もう家出るって言った時間になるでしょが!」
「へいへい。まぁ、大丈夫だって。そのうち出るから」
「ああそう。ほら洗濯するんだから早く行きな」
「へーい」
「返事は“はい”!」
「……はい」
頭に響くからガミガミ言うなって……
追い出されるようにダイニングへ行くと、両親がつついた後の冷めたおかずと炊飯器に保温されていたご飯を用意し、口に運ぶ。
テレビをつけようとリモコンに伸ばした手が、はたと止まった。