泡沫眼角-ウタカタメカド-
せっかくの再会を阻まれ、炯斗はおもいっきり顔をしかめた。


「んだよ、お前かよ。えーっと……ウザイの!」

「惜しい! ウザメだ!」

「どっちも変わんねぇじゃん」

「失敬な! 僕のれっきとした名前だぞ!」

「あ、そこ名前だったっけか。アハ…」


メガネの奥からじとっともはや必死の視線。
炯斗の笑いも凍りつけた。

「トシオくん、そっちはいいから!」

「なっ!」

「いちいち反応いらんから退けって。邪魔だし」

恵と炯斗のダブルパンチ。
がーんと音を立て、邪魔すべく立ちはだかった壁は脆くも崩れた。


残骸を飛び越え炯斗は、二人に顔を綻ばせた。


「恵、ことのん久々だな!」

【お久しぶりです。びっくりしました】

「ここ、炯斗の家なの?」

未だに少し目をぱちくりさせた恵は、炯斗の横から後ろを覗く。

「ああ。そう、さっき起きた!」

【どうりで。寝癖、酷いですよ】

「え!?」


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