泡沫眼角-ウタカタメカド-

俺とカレカノ見られんのそんなに嫌か!?
炯斗の能天にタライを食らって涙目。


「おい炯斗、俺のことも」

深い傷を負った炯斗には無情にも映るが、彼は一切の悪気はなく炯斗を促した。

「こっちは俺の幼なじみの狭間奏(ハザマ カナデ)。俺の兄ちゃんみたいなもん」

「そういうことだ。よろしくな」


ニカッと笑う狭間。
差し出された右手に対応しながら、恵は狭間をまじまじと見上げた。


――綺麗な顔


それが第一の印象。

細身でしっかりとした体つきなのに、整った顔はどこか女性的。
けれども、オールバックで整えられた髪型と、より線を細く見せる純白のスーツが男らしさ溢れる雰囲気で包んでいる。


佇むだけで、色気が浮かぶ。


「で、で! 兄ちゃん聞いて! あそこにもう1人いるのがな」

それをテンションの上がり切った金髪がまるごと吹き飛ばす。
間に入ってビシッと奥の言乃を示した。

「彼女がことのんこと屋代言乃ちゃん!」

「あ、あぁ…」


執拗にスーツの端を引っ張る炯斗に、狭間も戸惑い気味だ。


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