泡沫眼角-ウタカタメカド-
ことのんに、プレゼント!?
あり得なくはない。
もともと俺はトシオとことのんの仲を取り持つっていう中でことのんと知り合った訳だし。
なんやかんやあって、俺がポジション取ったけどさ。
ヘッ、ざまあ
物騒な考えをしているが、トシオが言乃に好意を持っていることには間違いない。
そして半ば横取りをした炯斗から何かしらのリードを取りたいと考えているだろうことも。
プレゼント…プレゼント…
同じ言葉とトシオの顔が炯斗の脳内を行ったり来たり上下左右。
――!! …ま、まさか!!
脳裏を恐ろしい考えが過った。
想像するだけで寒気が止まらなくなる。
「炯斗? どうしたの?」
「あんにゃろ、こうしちゃいられねぇ!」
炯斗は狭間家の門へ走った。
『はい――』
「俺! 隣の炯斗! ちょい入れて!」
流石は幼なじみ。
門はすぐに開いて中年の男性が顔を出した。
「炯斗ぉ、久しぶ――」
「うん、ごめん!!」
一言で炯斗は男性を押し退け、怪訝そうな男性の声も聞かず、広い広い玄関へ走った。