泡沫眼角-ウタカタメカド-
オレはふらふらとまた親父の部屋に戻る。


どういう、事なんだ……


ひげも生えていない。
髪も伸びていない。
三年の時がたったにしては、オレは変わっていなさ過ぎる。
むしろ3日と経っていない出で立ちだ。


ビュオォッ──


冷たい風。
飛ばされて、未だ呼んでいないもう一枚の書類が足元にはらりと下りた。
オレは気のない動作でそれを覗き込む。

もうこなくていい、もう十分だと思っていたのに、オレの後ろ頭に、もう一度強烈なパンチが飛んできた。


オレの行方不明になった場所
日付
そして、その近隣で発見された身元不明の死体。
3体ほど発見されている。


“──パァン!”

!!


オレの脳裏に光景がフラッシュバックした。
もう嫌というほど突きつけられた事実。

とどめの一撃が入った。


──オレは、もう、人間じゃない──


親父たちは、まだ生きていると信じて躍起になって探している。
それがオレなんだ。


ここにいるオレは、オレじゃない。
この家の人間じゃない。
















──そうしてオレは、名前を捨てた──





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