泡沫眼角-ウタカタメカド-
* * *
帰る道すがら、言乃は例のタブレットを見つめていた。
液晶をタップすれば浮かんでくる、ファントムのメッセージ。
これは……一体…
深く、深く。
奥から黒いもやがふくれて、ざわめきが止まらない。
実を言えば、刑事の電話を受けた時から続いていたものだ。
嫌な予感はまだおさまらない。
一人目。
それは、自らが殺人に関わっているということ。
それは、二人目三人目と続く可能性があるということ。
そこまで考えを進めて、言乃はタブレットの電源を落とした。
トシオはこのメッセージを発見して、買い換えると進言してくれたが、構わず受け取った。
この程度のこと、言乃には恐るるに足らない。
そのまま、タブレットを大事そうにしまいこみ、言乃は顔を上げた。
「やあ、いらっしゃい」