泡沫眼角-ウタカタメカド-
『高橋、連行』
『はい』
『い、いやだぁぁあ!!』
高橋に引きずられ――どこにそんな力があったのかと炯斗はビックリした――トシオは朋恵たちの車に消えていった。
『………』
このコンビ……実は怖ぇ…。
唖然と一連の二人を見ていた炯斗に、朋恵はもう一度怪しげな目を向ける。
『で、あんたは本当にただのお隣さんなの?』
『そうだよ? つかんなこと疑うなよ』
ほらこの表札見て! とアピール。
ハイハイと軽くあしらって
『何か知っていそうで嫌なのよ、あんたたちは』
『いやぁ、それほどでもー』
『褒めてないから』
飛んでくる足をひょいと避けた。
『で、何? 殺人事件でも起きたの?』
『あら、屋代さんから聞いてないの?』
ん? と動きを止める炯斗に、朋恵は意外そうに目を丸くした。
『どうせもうニュースで知ってるでしょうから言うけど、駅前で殺人事件が起きたのよ』
殺人…駅前?
『へえ、何でそこでことのん?』