泡沫眼角-ウタカタメカド-
対して朋恵は呆れた表情で

「あんたさ、わかってる? ものっスゴく怪しい行動よ、これ」

ごもっとも。

「おまけに逃走するとこ見られてる。警察はそれを犯人だと思って追っているの」

「で、でも!! 俺は何にもやってねぇよ!?」

「大丈夫。それは僕たちもわかってるよ」

慌てて言った炯斗に、高橋が安心させるような笑みを向け、一先ず落ち着く。

しかし、疑いは晴らさないと。

炯斗の気は焦る。

どうすればいいんだ。
あれこれ言い過ぎるとなんか言い訳がましいし、言わなかったらどうにもなんないし……


「だから大丈夫だってのよ」

「え?」

炯斗は顔を上げる。
不機嫌そうながらも、朋恵は炯斗をしっかり見つめ、後ろの高橋はぶっきらぼうな上司に苦笑いを浮かべつつ、炯斗に笑いかけた。

「僕たちは君を信じてるよ」

高橋さん……!

「前に助けて貰ったこともあるし、こないだの事件をみる限り、そんな度胸あんたにないしね」

「はは…手厳しいねともちー」

苦い思い出に炯斗は口を歪めて笑った。

犯人がわかり、追い詰めている時だ。
炯斗が犯人に食ってかかり、自分を殴ってみろと挑発したのだが、肝心なところで何も出来ず、朋恵に助けてもらったのだ。


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