泡沫眼角-ウタカタメカド-

「さぁね」

「はぁ?」

朋恵のあっさり過ぎ、かつわからない答えに炯斗はずっこけた。

バカみたい、とでも聞こえそうな視線で朋恵はメモをしまいだす。


「どうせあんたのこと、周りから聞き出すでしょうから言っちゃうけど、被害者の金子の所属はあんたのお隣、比津次会。つまりボスはお兄ちゃん。今は被害者の関係者程度の調べよ」

「じゃあ、」

「ただし!」

炯斗の鼻先に朋恵の人差し指がビシッと。
有無を言わせない視線に圧力がある。

――逸らせない……


「まだ捜査は始まったばっかりよ。どうなるかはわからないからね」


安心するな。
そう言ってきているんだ。

「あ、ああ…」


それを思い知らされた炯斗には、頷くことしか出来なかった。

朋恵は立ち上がって椅子をしまう。

「これで聞きたいことはもうない?」

「うん」

ってか、立ち上がってから聞くって質問受け付ける気どこにもないよねともちー。


「何か言った?」

「いえいえ!! 何でもありません!!」

地獄耳だ。
高橋は、先に部屋を出る朋恵の背中に届かないように十分注意しながら、

「先輩からかなり離れてから何か言った方がいいよ」

と炯斗に耳打ちした。


…………


もっと早く教えてくれよ高橋さん!!


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