泡沫眼角-ウタカタメカド-
「でも、本当に今日現れるんでしょうか?
ああ、いえ! 疑ってる訳じゃないですよ!?」
思い切り手を振って否定する。
「いいわよ。当然の疑問だわ。……正直なところ、私もちょっと不安なのよね」
「え、」
――確か、これを言い出したのは朋恵さんだった気が…
若干疑いの目で見上げてみるが、朋恵は演説車が来るであろう場所をまっすぐ見つめている。
「ぶっちゃけ、勘よ、勘」
「ええ!?」
「…何よ」
「い、いえっ!」
朋恵はぷーと片頬を膨らませる。
しかし恵は、頭を何かでガツンとやられたような気分だった。
――本当に大丈夫かなぁ…?
「でも、」
朋恵は頭を抱えた恵に、やや言い訳じみた口調で付け加えた。
「確かに何かが起きるような気はするのよ。
だって目立つには絶好のチャンスよ? いい意味でも、悪い意味でも、ね」
なるほど…そういう考えが…
やっぱり、刑事さんってすごいなぁ
「何よ?」
「何でもありません」
今度は、ニッコリと答える恵。
朋恵は、変なの、と訝しく恵を見て、また前に視線を戻した。