泡沫眼角-ウタカタメカド-
「んで、最後に代が変わり時ときたもんだ。若頭になって色々と体制も変わるらしい」
気恥ずかしそうにはにかむ吉野を見て、電球がポンとつく。
「そか。だからお前なんかが幹部になれたのか!」
――バコッ!
「ってぇー……」
即座に喧嘩慣れした吉野の拳骨。
「てめえ、いつからお前呼ばわりできるようになった!」
――マズイ、癖がっ!
蒼白になったところをもう一発、拳が飛んでくる。
「おい、やめ! 頭セットすんの大変なんだからな!」
「んな変な頭してっからだ! トサカか!」
そうふざけて言ったところで、吉野は手を止めた。
「そういや、オレに話があったんだっけ?」
「気付くの遅い!」
「悪いな、でなんだって?」
こういう時だけ調子よくなりやがって…
しかし、
「いいさ。まだ忙しいみたいだし、こっちは急ぎじゃないから」
「そうか?」
尋ねる吉野に、おもいっきり背中を向けてシッシッとやってやる。
「幹部さんは忙しいんだろ? 早く行けよ」
「フッ、そうよーだ。学生さまと違ってこっちは忙しいんだよ」