泡沫眼角-ウタカタメカド-


「んで、最後に代が変わり時ときたもんだ。若頭になって色々と体制も変わるらしい」

気恥ずかしそうにはにかむ吉野を見て、電球がポンとつく。

「そか。だからお前なんかが幹部になれたのか!」

――バコッ!

「ってぇー……」

即座に喧嘩慣れした吉野の拳骨。


「てめえ、いつからお前呼ばわりできるようになった!」

――マズイ、癖がっ!


蒼白になったところをもう一発、拳が飛んでくる。

「おい、やめ! 頭セットすんの大変なんだからな!」

「んな変な頭してっからだ! トサカか!」

そうふざけて言ったところで、吉野は手を止めた。

「そういや、オレに話があったんだっけ?」

「気付くの遅い!」

「悪いな、でなんだって?」


こういう時だけ調子よくなりやがって…

しかし、

「いいさ。まだ忙しいみたいだし、こっちは急ぎじゃないから」

「そうか?」



尋ねる吉野に、おもいっきり背中を向けてシッシッとやってやる。

「幹部さんは忙しいんだろ? 早く行けよ」

「フッ、そうよーだ。学生さまと違ってこっちは忙しいんだよ」



< 90 / 267 >

この作品をシェア

pagetop