泡沫眼角-ウタカタメカド-

* * *

――飽きた。


「はぁーーーぁ……」


炯斗は、大きくため息をついた。


「ちくしょ……どうなってんだよ…」


口から出る声は重い。
入り口の車止めを避けて炯斗は公園に入る。

ブランコの前を通りすぎ、綺麗にカットされた芝生の上に寝転んだ。

爽やかな風が、炯斗の鼻を掠め、街を吹き抜けた。


そう、街。
ここは、とある街。


しかし、


「ここはどこなんだよぉー!!」


そんな叫びも、虚しい。

この街を、炯斗は知らない。
いつここに連れて来られたのかもわからない。
何も知らない、閑静な住宅街。



一体これはどういうことだ!!


そう叫びたい。
いや、叫ぶことは出来る。


「だぁれもいないし……車も通らないし…鳥とか猫に犬すらいねぇ…」


物音もない。
無音の世界。


叫んだって、誰も聞きもしないのだ。


炯斗はダッと勢いよく立ち上がると、思い切った。


「だーれかいませんかぁー!!」

………


………


「煩いでもいいから誰か返事返してくれよぉ…」


さすがに、落ち込むって……


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