泡沫眼角-ウタカタメカド-
――………
「はぁっ、はぁ…クソっ…」
膝に手をついて、荒い息を整える。
この無音空間がどこまで続いているのか確かめてみた。
服からボタンを引きちぎり――心もちょっと切れたが、そんなこと言ってられない――道のど真ん中に置いた状態で、その道をまっすぐに進んだ。
一周、前進しかしていないのに前方にボタンを発見。
二周、上に同じ。
三周、走ってみた。現状は変わらず。
四、五周、全力疾走。変わらず。
「うがぁー!!
やるときからちょっと予想してたし、すぐにわかったけど……やっぱ無限ループかよ!! ざけんな! マジでゲームかこんにゃろ!!」
こんなのバグってにっちもさっちも行かなくなった無理ゲーだ!
炯斗が両手を上げて叫んだ。
――そろそろ、限界…
一人って寂し過ぎる。
なんとかなるとか思ったけど、正直…辛ぇ
炯斗は肩を落とした。
「寂しーよー…マジで誰かぁ…出てきて。もう幽霊でもいいからさ…」
『…ったく、うるせぇな…』
「うぉわっ!?」
まさか本当に出るとは!!
飛び退いて振り向くと、見知らぬ、でもどこか見たことのあるような人影。
『お前をここに連れてくるつもりはなかったんだがな…』