つよがり姫に振り回されて
「今日もよろしくお願いします」

執事服でサービスをしていた。
昨日と変わらず、大人数。
てか、昨日より多い。

「みんなささっと縫っちゃうよ」

「「はい」」「はい、部長」「了解です」

今日は演劇部がいるからだ。
さすが、演劇部っていうだけあって裁縫はすごい。
いつも自分たちの衣装は自分たちで見繕っているらしい。
これだけいたら、梨沙への負担がだいぶ減るな。

「ご主人様、お嬢様。なにかありましたら私にお申し付けください」

「わかった。何かあったら言うから。…横水さんのそのメイド服は自前なの?」

「はい、私ごとですが手作りでございます」

「へぇー。そういうのも出来ちゃうなんて、生徒会長だな。その調子で、文化祭の方もよろしく」

「かしこまりました、ご主人様」

…そういう事か。
結局やることにしたんだ、演劇。
ヒロイン役で。
なんでだろう、なんか嫌な気持ちになる。

「広瀬君?…広瀬君、ここはどうしたらいいの?」

「あっ申し訳ありません。ここはですね、このようにしていただいて…」

そういえば俺も作業してたんだった。
よそ見してる場合じゃない。
ちゃんと仕事しなきゃ。

気合を入れ直して、作業に集中した。
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