つよがり姫に振り回されて



「…もうこんな時間か」

ふと壁にかけてあった時計をみると、始めてから3時間が経過していた。

「あっそうですね」

「今日はこの辺でお開きにしますか」

「そうだね。明日もあるし」

明日もあるのか…

「じゃあ今日はこの辺でいいですね、広瀬君」

「あぁ、そうですね。今日はこれで解散ってことで。みなさんお疲れ様でした」

今日はこれで終わった。
各々帰る準備をしている。

俺も帰ろうっと…

「ねぇ」

「はい?」

話しかけてきたのは一つ上の先輩だった。

「この後予定あったりする?」

「特にないっすけど」

「じゃあ一緒に帰らない?」

「えっ?」

「前から少し話してみたかったの。いい?」

「…あっすみません、また今度でもいいっすか?多分あいつ残って待ってると思うんで」

「『あいつ』?…会長の事?」

「あっはい」

「放っておけばいいじゃない。会長なら一人でも大丈夫だろうし」

「それはそうなんすけどね。…またの機会にってことでいいすかね?」

「…まぁ、広瀬君がそういうなら仕方ないし。わかった、また今度ね。じゃあ、お疲れ様でした」

先輩は帰っていった。
あの人、きっと俺に気がある。
昔からそういう恋沙汰には敏感だった。
自分が好かれてるとか、誰かが誰かにとか…

なんか面倒だな…
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