悪魔のようなアナタ【完】



<side.美奈>



15:00。

3Fの廊下を歩いていた美奈は会議室から玲士が出てくるのに気付き、足を止めた。

玲士はノートパソコンを抱え、すたすたと経営企画室の方に向かって歩いていく。

自席に座り、疲れたように前髪をかき上げるその姿は思わず息をのむほど艶っぽく格好いい。


「……」


なぜ玲士は、自分ではなく灯里を好きなのか?

玲士が彼女に向ける視線はここ数か月の間で確実に変わってきている。

――――灯里を見守るような、それでいてどこか切なげな視線。

玲士が灯里を好きなのは明らかだ。

彼女の方は気付いていないようだが……。


「……っ……」




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