悪魔のようなアナタ【完】
2.大人のお酒
翌週の水曜。
18:00。
灯里はパタンとノートパソコンを閉じ、ふぁぁと大きく伸びをした。
夕日が窓から差し込み、書類が散らばった机の上を橙色に照らしている。
あれから。
玲士に一通りの操作方法を教えてもらった灯里は順調にパンフレットの素案を製作していた。
要所要所で玲士のチェックを受け、指摘部分を修正する。
データはサーバに置いてあり、今週末に部長と取締役のチェックを受けて来週の火曜に印刷屋に持って行って試し刷りをする予定だ。
「疲れたぁ~」
仕事に集中すると一日があっという間に過ぎる。
心地よい疲れが灯里の全身を包んでいく。
と、机の上に置いてあった携帯がブルルッと震えた。
「あ、晃くんだ」
時間があれば一緒に夕飯にでも行かないか? とメールにはある。
ふむと灯里は小首を傾げた。