悪魔のようなアナタ【完】
晃人は灯里と同じく繁華街の方へと歩いていく。
二人の目的が同じことは明白だ。
「……っ……」
玲士は愕然とし、青ざめた顔でぐっと手を握りしめた。
灯里は幼馴染だと言っていたが……。
あの男には既に特別な相手がいるはずだ。
あの右手の指輪はそういう意味だろう。
さすがに鈍い灯里でも晃人に相手がいることはわかっているだろう。
それでも灯里は彼の傍に居たいのだろうか?
そこまで、彼のことを好きなのだろうか?
「……っ、灯里っ……」
玲士は呻くように呟き、窓に背を向けた。
焼けるような嫉妬が波のように胸に広がっていく。
押さえきれない胸の痛みに、玲士は唇を噛み締め目を瞑った……。
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