悪魔のようなアナタ【完】
「俺のことはいい。お前のことを聞きたい」
「え? 私?」
「パンフレットは順調か? 辛い思いをしていないか?」
晃人は気遣わしげに灯里を見る。
灯里は思わずまじまじと晃人を見返してしまった。
昔から晃人は心配性というか過保護な部分があった。
7つ上の晃人からすれば、灯里のすることなすこと全て危なっかしく見えるのかもしれない。
灯里は思わずくすりと笑い、晃人を見た。
「大丈夫だよ。最初は地獄を見たけど、その後は平気」
「……地獄?」
「そう。水澤くんにいろいろ教えてもらってるんだけど、ものすごいスパルタなの」
あははと灯里は笑顔で言った。
あれはスパルタというレベルを超えていたような気もするが、晃人を心配させたくはない。
晃人は探るようにじっと灯里を見つめていたが、やがてその目がふっと伏せられた。
微かに影を帯びた瞳に灯里は内心で首を傾げた。
その時。