悪魔のようなアナタ【完】
「……運命、なのかもしれないな」
「運命?」
「そう。俺達は再会する運命だった。そうは思わないか、灯里?」
晃人の一重の瞳に微かに艶が混ざる。
――――運命。
灯里はなぜか胸がドキドキしてくるのを感じた。
晃人には婚約者がいるとわかっているのに、なぜか晃人から目が離せない。
強烈な引力に引き寄せられていくような感じがする。
「そう……だね、晃くん」
「灯里……」
「あたしずっと、晃くんにもう一度会いたいって思ってた。まさか会社で会うとは思ってもみなかったけど」
灯里はくすりと笑い、晃人を見た。
そこに料理の皿を持った店員が入ってくる。
晃人の手がすっと頬から離れる。
しかし晃人の瞳は切なげに灯里をじっと見つめている。
灯里は内心で首を傾げながら、手近にあった取り皿に手を伸ばした……。