悪魔のようなアナタ【完】
『もう一度会いたいって思ってた』と灯里が言った時、もし店員が入ってこなかったら自分は灯里を抱き寄せていただろう。
心の底から突き上がる、押さえられない衝動。
婚約者の朝子にはこんな感情を感じたことはない。
「……っ」
なぜ今、再会してしまったのか……。
晃人は目元を片手で押さえ、ぎりっと唇を噛みしめた。
しかし、考えようによってはこれはチャンスなのかもしれない。
これがもし来年だったら自分は朝子と結婚していたはずだ。
その前に神がチャンスをくれたのかもしれない。
――――となれば。