悪魔のようなアナタ【完】
晃人の冷静な声が灯里の耳を打つ。
はっと顔を上げた灯里の目に映ったのは、晃人の鋭い瞳だった。
あの夜の優しげな影は微塵もない。
「……っ、はい」
「ノートパソコンの中は? ファイルのバックアップは取ってなかったのか?」
晃人は矢継ぎ早に灯里に聞く。
その冷静で冷ややかな声に灯里は心が凍るような気がした。
「取ってなかった、です。すみません……」
「……そうか」
晃人は感情の感じられない声で言う。
灯里はなす術もなく俯き、ぐっと唇を噛みしめた。
ぶるぶると足が震える。
と、その時。
横にいた玲士が口を開いた。
「吉倉に指示していたのはおれです。だからおれにも責任があります」
「……水澤?」