悪魔のようなアナタ【完】
<side.晃人>
二人の姿が廊下の奥へと消え、パタンと部屋の扉が閉まる。
晃人はしばし腕を組んで考えた後、システム部長の佐藤に視線を投げた。
「佐藤部長。ひとつ頼みがあります」
「は、何でしょうか?」
佐藤ははっと顔を上げて晃人を見る。
晃人は佐藤の顔を見据え、冷静な声で言った。
「ファイルサーバのバックアップは週末に行っているはずですね?」
「はい、毎週土曜の00:00からバックアップが走るようになっています」
「ではそのバックアップテープからデータを戻してみてください。確か空いているサーバが数台あるはずです。戻した中に該当のファイルがあるか、確認してください」
「了解しました」
「あとは追跡ソフトのデータの確認をお願いします。全端末のデータがモニタリングされていますから、誰がいつ消したのか追跡できると思います」
「はい、畏まりました」
矢継ぎ早に言う晃人に、取締役たちがなるほどといった顔で頷く。
晃人は平静な顔を保ちながら、内心で考えた。