悪魔のようなアナタ【完】

2.悪魔とランチ





翌日の12:00。


灯里は息せき切って3Fへの階段を駆け上がっていた。

灯里が所属する商事部電機設備課は2Fで、玲士が所属する経営企画室は3Fにある。

ちなみに1Fには総務部と人事部があり、2Fが商事部、3Fが経営企画室と経理部・秘書室となっている。


「水澤くんっ!!」


経営企画室に駆け込むなり叫んだ灯里を、近くの席に座っていた女性がじろりと見る。

都筑千佳。27歳。

玲士と同じ経営企画室に所属する才色兼備の女性で、非効率なことを嫌う根っからのキャリアウーマンだ。

その鋭い視線は玲士の雰囲気とどことなく似ているところがある。

千佳は肩を上下させる灯里を一瞥し呆れたように言った。


「あなた、少し落ち着きなさい」

「……すっ、すみません、都筑さん」

「水澤君なら書庫にいるわ」


千佳は淡々と言い、ふいと灯里から目をそらして自分のパソコンに視線を戻す。

灯里は慌てて踵を返し、3Fの奥にある書庫へと向かった。


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