悪魔のようなアナタ【完】
20:00。
灯里は玲士の横で、玲士が作業している画面をじっと覗き込んでいた。
玲士は切れない集中力でカタカタとキーボードを叩き続けている。
あれから玲士は怒涛のスピードでデータを打ち込み、元データの9割を再現した。
そもそもそれだけのボリュームが記憶にあったというのがすごい。
はっきりと覚えてはいないが、内容はほとんど同じだったように思う。
しかも章によっては灯里が作った元のデータより良くなっている気がする。
「……」
灯里は尊敬の目で玲士を見つめた。
――――やはり玲士はすごい。
悪魔だ魔王だと言われてはいるが、その名に恥じない能力を持っている。
しかし時計を見ると、もう20:00だ。
心配そうに覗き込む灯里に玲士はふと手を止めて少し笑った。
「そんな顔、するんじゃないよ」
「……っ……」
「おれがどうにかしてやるから。お前はそこで待ってて?」