悪魔のようなアナタ【完】
いつになく優しい言葉に灯里は思わずドキッとした。
どうやら集中力のほとんどを作業につぎ込んだお蔭で毒素が弱まっているらしい。
いつもこうならいいのにと思う反面、それはそれで怖い気もする。
魔王が魔王でなくなったらどう接すればいいのかわからない。
……と思ってしまうということは、自分も玲士に慣れてきたということなのだろう。
やがて一時間後。
玲士はキーボードを叩く手を止めた。
パキパキと指を鳴らし、大きく伸びをする。
「おしまい」
腕を下ろして疲れたように言った玲士の横から、灯里は画面を覗き込んだ。
そこにあったのは……。
「すごいっ……!」
灯里が作ったデータをほぼ100%再現したものが画面に表示されていた。
灯里は感動のあまり思わず玲士の腕に飛びついた。
玲士は一瞬びくっとし灯里を見たが、疲れのせいか何も言わない。
灯里はぎゅっと玲士の腕を抱きしめ、画面を覗き込んだ。