悪魔のようなアナタ【完】
<side.晃人>
同じ頃。
晃人は取締役室でシステム部の佐藤部長の報告を受けていた。
「土曜零時にバックアップしたデータを確認してみましたが、該当のファイルは見つかりませんでした」
佐藤はノートパソコンの画面を見せながら晃人に説明する。
晃人は頭の中でざっと情報を整理した。
……となると。
金曜の夜のうちにデータはなくなっていたということになる。
「そうですか……」
「それでですね。金曜の夕方のファイルアクセス記録を見てみたのですが……」
佐藤は手早くキーボードを叩いて追跡ソフトの画面を表示する。
その顔は心なしか強張り、画面のある一点を見つめている。
「このデータからすると……多分……」
佐藤は言い辛そうに口を濁す。
佐藤が見つめる視線の先にはある人物の名前があった。