悪魔のようなアナタ【完】
『明日、東京でしょ? おれは昼過ぎからだから現地で合流することになる』
『でもブースの場所とか決まってるし、別に……』
『おれは迷うことないけど、お前は迷うでしょ? 変な奴に連れられてどっか行くかもしれないし』
『ンなわけないでしょ!』
軽くバカにされた灯里はムッとした顔で玲士を見上げた。
玲士はいつもの氷のような目で灯里を見下ろしている。
『とにかく。明日、新幹線乗ったらここにメールして。10分以内だ』
『はぁ?』
『メールしなかったらお前には想像もつかないような恐ろしいことが降りかかるから。覚悟して?』
灯里は思わず唖然と玲士を見た。
――――なんという脅し。
たかがメールでなぜここまで脅されなければならないのか?
玲士はじーっと灯里を見つめている。
その絶対零度の視線に根負けし、灯里ははぁぁと肩を落とした。
『わっ、わかったよ……』
『ならばよし』
灯里が言うと、悪魔はどことなくほっとした様子で目元を緩めた……。