悪魔のようなアナタ【完】
<side.晃人>
灯里の背が受付ブースの奥へと消えていく。
晃人はその背を気遣わしげに見つめていた。
灯里は昔から張り切ると頑張りすぎるところがある。
前向きというか、無鉄砲というか……。
一人っ子の自分が過保護になったのは灯里の影響が大きい。
といっても自分が過保護になるのは灯里に対してだけなのだが……。
晃人は受付ブースへと視線を流した。
見ると、受付ブースの前で総務部の河瀬美奈が座り込んで何やら作業をしている。
どうやら脚立の調整をしているようだが……。
「…………」
晃人の目が剣呑な光を帯び、ゆっくりと細められる。
その目は鋭く、氷のように冷たい。
やがて美奈は脚立を置き、その場を離れていった。
晃人はその背を射るようにじっと見つめていた……
<***>