悪魔のようなアナタ【完】
痛みに顔を顰める灯里を、サラリーマン達が呆然と見つめる。
まずい、立ち上がらなければ……。
灯里は床に手をつき立ち上がろうとした。
しかし足が痛くて動けない。
どうしよう……。
と思った、その時。
「――――灯里っ!?」
人だかりの奥から声がし、灯里ははっと顔を上げた。
この聞き覚えのある低いバリトンは……晃人の声だ。
ザワザワと辺りがざわつく中、晃人は人波をかき分けて灯里の方へと走り寄る。
晃人は灯里の傍に片膝をつき、肩を掴んで顔を覗き込む。
「大丈夫か!?」
「……っ、足が……」
「動かすな!」