悪魔のようなアナタ【完】




痛みに顔を顰める灯里を、サラリーマン達が呆然と見つめる。


まずい、立ち上がらなければ……。

灯里は床に手をつき立ち上がろうとした。

しかし足が痛くて動けない。


どうしよう……。

と思った、その時。



「――――灯里っ!?」



人だかりの奥から声がし、灯里ははっと顔を上げた。

この聞き覚えのある低いバリトンは……晃人の声だ。


ザワザワと辺りがざわつく中、晃人は人波をかき分けて灯里の方へと走り寄る。

晃人は灯里の傍に片膝をつき、肩を掴んで顔を覗き込む。


「大丈夫か!?」

「……っ、足が……」

「動かすな!」


< 153 / 350 >

この作品をシェア

pagetop