悪魔のようなアナタ【完】
救護室に担ぎ込まれた灯里はそのまま簡易ベッドの上に寝かされた。
足の痛みはどんどん増していく。
骨折とまではいかないが、ひどく捻ったのかもしれない。
「……っ、痛っ……」
簡易ベッドの脇で医療スタッフのおばさんが救急箱から冷却スプレーや包帯を慌てて取り出す。
晃人は灯里の足に掛かっていた上着を取り、痛めた部分を見下ろした。
捻ったのは右足の足首で、次第に赤くなってきている。
晃人は手を伸ばし、灯里の靴を手早く脱がせた。
そのまま爪先の方からストッキングを裂いていく。
「っ、晃くん……」
「恥ずかしがってる場合じゃないだろう。急いで冷やすぞ」
晃人は険しい表情で裂いたストッキングを脇によけ、冷却スプレーを吹き掛ける。
冷たい感触に灯里はびくりと背筋を強張らせた。
晃人の横から保冷剤と包帯を手にした医療スタッフのおばさんが患部を覗き込む。
「ちょっと診せてね」
「……っ」