悪魔のようなアナタ【完】
数分後。
晃人は灯里の荷物と共に再び救護室に戻ってきた。
灯里の荷物を肩に軽く引っかけて、すっと灯里を抱き上げる。
「だっ、大丈夫だよ、晃くんっ……」
「何が大丈夫だ。歩けないだろう、お前」
「……っ」
晃人は救護室を出、そのまま会場を抜けてタクシー乗り場へと向かう。
こういう時の晃人には下手に逆らわない方がいい。
周りの視線を浴びる中、晃人はすたすたと歩いていく。
灯里は俯き、晃人のスーツの胸元に顔を埋めた……。