悪魔のようなアナタ【完】



美奈は先ほどの晃人の態度を思い出した。

彼女のことを晃人は『灯里』と呼んでいた。

その呼び方からして二人の間に何かがあることは明白だ。


あの瞬間、晃人が灯里に向けていた眼差しは玲士が灯里に向ける眼差しと全く同じだった。

はっきりとしたことはわからないが、晃人も恐らく灯里に好意を抱いている。

どういう経緯でそうなっているのかはわからないが……。


灯里には特別な何かがあるのだろうか?

自分にはわからないが、玲士や晃人の心を惹きつける何かがあるのだろうか?


「……」


正直、自分にはよくわからない。

が、晃人の気持ちを知ることができたのは思ってもみない収穫だ。

美奈はくすりと笑い、受付ブースの方へと足を向けた。



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