悪魔のようなアナタ【完】
「あー……」
「ちゃんと日本語しゃべりなよ。脳が更に退化するよ?」
「うるさいっ」
ぶすりと灯里はサラダにフォークを突き刺した。
――――なぜこんなことになったのか?
社内には玲士の他に二人同期がいるが、部署が違い忙しいため一緒にランチをすることはあまりない。
灯里もいつもは近くのコンビニなどでお昼を調達しており、めったに外にランチに出ることはない。
久しぶりの外でのランチなのに、なぜ相手がこいつなのか?
「あぁ神様仏様。どうかこいつに天罰をお与えください」
「独り言のつもりかもしれないけど聞こえてるから、それ」
「…………っ」
「お前の頭の中は呪いの言葉が渦巻いてるのか。見た目と違って恐ろしいね、お前」
「そんな想像するあんたの方が恐ろしいわっ」
灯里は反射的に叫び、突き刺したサラダを口に入れた。
シャキシャキした野菜とレモンの風味が口の中で広がり、とても美味しい。
トマトベースのパスタもハーブが効いており、口にするとトマトとハーブの濃厚な香りが広がる。
こんなに美味しいランチなのに、なぜこんなムカつきながら食べねばならないのか?
灯里は心の中でぶつくさ呟きながらパスタをフォークで巻いた。
玲士はそんな灯里を正面からじっと見つめ、ふっと片眉を上げる。