悪魔のようなアナタ【完】
<side.玲士>
14:00過ぎ。
玲士は東京駅で新幹線を降り、展示場に向かう電車に乗り換えた。
電車は展示場に向かうサラリーマンでごった返している。
玲士は入り口近くの手すりを掴み、スーツのポケットから携帯を出した。
携帯を開いて灯里からのメールを確認する。
「……薄情なヤツ」
あれから灯里にメールで何点か質問事項を送ったのだが、一度も返事がない。
多分忙しいのだろうとわかってはいる。
だが……。
玲士はアドレスに登録された『吉倉灯里』の文字を目を細めて眺めた。
再会して2年経つが携帯にメールしたのは初めてだ。
正直なところ、連絡しなくてもブースに行くことはできる。
さすがに自社のブースの場所ぐらいは把握している。
……けれど。
「灯里……」