悪魔のようなアナタ【完】
玲士は呟き、ぱたんと携帯を閉じた。
メールを送る気持ちと、メールを待つ気持ち。
心に湧き上げる期待と不安。
――――こんな気持ちを玲士に抱かせるのは、やはり灯里だけだ。
灯里にとって自分はただの同僚だろう。
好かれているという自信も全くない。
……恐れられている自信はあるが。
時間を経るたびに、玲士の胸の中で想いは深まっていく。
それと同時にこれまで感じたことのなかった気持ちが胸の中に生まれ始める。
――――もっと、自分を見て欲しい。
灯里が自分に対して同僚以上の気持ちを抱いていないのは百も承知だ。
灯里にとって自分は同僚どころか、……怖れの対象でしかない。
このままではいけないと思いつつも灯里の前に立つと必要以上に冷たく接してしまう。
彼女との距離を近づけたいと思うのに、灯里と接すると自分の不器用さや弱さを再確認するハメになる。