悪魔のようなアナタ【完】



玲士は小さなため息をつき、窓の外に目をやった。

いつしか電車は海沿いを走り、ビルの合間に展示場の建物がしだいに見えてくる。


5分後、玲士は電車を降りて展示場の方に向かって歩き出した。

夏の陽が辺りにさんさんと降り注ぎ、コンクリートでできた道が白く輝いている。

道路を歩いていた玲士だったが、前方に見覚えのある男が歩いていくことに気付きはっと足を止めた。

その腕には灯里の姿がある。


「っ!?」


玲士は思わず息を飲んだ。

よくよく見ると、灯里の足には白い包帯が巻かれている。


晃人はタクシー乗り場まで行き、駐車していたタクシーの後部座席に灯里を乗せる。

扉が閉まった後、タクシーは灯里を乗せてロータリーから大通りへと出て行った。



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