悪魔のようなアナタ【完】
灯里の肩を玲士がぐっと掴む。
驚き顔を上げた灯里の目に、玲士の鋭く冷たい目が映る。
「……あのさ」
「?」
「なんでお前、助けてって言わないの?」
玲士の言葉に灯里は思わず眉を上げた。
なんでって……。
――――悪魔に借りを作ったらとんでもないことになりそうだから。
と言おうとした灯里だったが、玲士の表情にその言葉を飲みこんだ。
玲士はその綺麗な瞳を切なげに歪めて灯里を見つめている。
これまでに見たことのない玲士の表情に灯里は内心で息を飲んだ。
「メールでも電話でも。何か買ってきてって、おれに頼めばいいじゃない?」
「は、はあ……」
「何? その気のない返事。お前にとっておれって何なわけ?」