悪魔のようなアナタ【完】



玲士は問い詰めるように言う。

灯里はぽかんと玲士を見た。

何って……。


――――悪魔もしくは魔王。


と言おうとしたがどうやらそういう意味ではないらしい。

不思議そうに見上げる灯里を玲士はどこか切羽詰まったような瞳でじっと見つめる。


「……っ、お前ねぇ……」

「……?」

「……っ……」


やがて玲士は肩を落とし、はーっと盛大なため息をついた。

その顔はいつもの冷静冷徹な顔に戻っている。


玲士は灯里の肩から手を離し、ため息交じりに灯里を見下ろした。


「もういい。何か買ってくるから、お前は部屋に戻ってて?」

「……へ?」

「いい? 一歩も出るんじゃないよ。廊下に一歩でも出たらとんでもない悲劇がお前を襲うよ」


――――どんな廊下だよ。

と思ったが、玲士の申し出は正直とてもありがたい。

悪魔に借りを作りたくはないが、今ばかりは仕方がない。


灯里は玲士に軽く礼を言い、大人しく部屋に戻った……。



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