悪魔のようなアナタ【完】
「あの女……」
晃人の瞳が冷徹な光を帯びる。
――――河瀬美奈。
あの女は説明会の前、脚立に何かしていた。
しかも灯里が倒れた後、脚立を受付の奥にしまったのはあの女だ。
データの件にしても今回の件にしても、何かあるとあの女が絡んでいる。
晃人の目が刃のような鋭さを帯びる。
――――灯里や他の社員の前では見せたことのない、昏い刃物のような目。
会長の親族と言えど、この歳で取締役になったのにはそれなりに理由がある。
このご時世、甘さを見せればそれはそのまま会社の弱みになる。
ましてや河瀬のように、自社に損害を与えるような人間を放置しておくわけにはいかない。
晃人は唇を歪めてクッと笑った。
その瞳によぎる光は鋭利な刃のように鋭い。
「今回までは様子見だ。しかし今度、何かあれば……」
――――処分する。
晃人は目を伏せ、ゆっくりとグラスを傾けた……。
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