悪魔のようなアナタ【完】
そして月末。
社員一行は蔵王高原へと降り立った。
今日から一泊二日の社員旅行だ。
灯里はバスを降り、きょろきょろと辺りを見回した。
会社のある街から蔵王までは車で3時間ほどで、灯里は蔵王に来るのは初めてだ。
「あら、吉倉さんも同じ日程だったのね?」
「あ、香川さん」
香川さんは黄色いフリルのブラウスに、ピンクのシフォンのスカートをはいている。
いかにも大人の女性という感じの香川さんらしい格好だ。
社員旅行は服装自由ということで、灯里はジーパンに白いTシャツ、クリームグリーンのカーディガンを着て来た。
山岳リゾートということで動きやすさ重視のカジュアルな格好にしてみたのだが、周りの女性社員達はスカートなど比較的女らしい格好で来ている。
「よろしくお願いします、香川さん」
「吉倉さん、もう足は大丈夫なの?」
「はいっ、もう治りました。香川さん、その節はどうもありがとうございました」