悪魔のようなアナタ【完】
灯里はぺこりと頭を下げた。
あの展示会の日、怪我した灯里の代わりに香川さんが説明を担当してくれた。
礼を言う灯里に香川さんは首を振って微笑った。
「いいのよー。あの時はホントびっくりしたわ~」
「すみません……」
と言った灯里の視界の端に晃人の姿が映った。
晃人は黒いスラックスに紺と白のダブルカラーのポロシャツを身に着けている。
すらっとしたその姿はまるで雑誌のモデルみたいだ。
「神園役員って別格よね~。一体何をしたらあんな体格になるのかしら?」
「……」
晃人は昔、小学校から大学までずっと水泳をやっていた。
広い肩幅や引き締まった体つきはそのせいだろう。
と知ってはいても言うことはできない。
灯里はハハと空笑いしお茶を濁した。
「別格って言えば。彼もね?」