悪魔のようなアナタ【完】
と香川さんはバスの方に視線を流す。
視線の先にいたのは玲士だった。
玲士は黒い細身のカーゴパンツに白いシャツ、その上にグレーのボーダーカーディガンを羽織っている。
玲士の私服を見るのは初めてだが思った以上にシンプルで、彼の端整な美貌に良く似合っている。
「あれはまた、違うタイプの美形よね」
「……」
「あれだけ綺麗だと性格歪んじゃうのも仕方ないわよ。黙って立ってりゃ目の保養なのにね……」
香川さんは腕を組み、しみじみと言う。
ごもっともですと灯里は内心で深く頷いた。