悪魔のようなアナタ【完】
――――昔。
晃人はよく家から歩いて15分ほどのところにある神社に灯里をよく連れて行ってくれた。
春は桜を見に、夏は蝉やクワガタを取りに……。
秋は落ち葉や栗を拾いに、そして冬は雪遊びをするために……。
「懐かしいな……」
こうして階段を登っているとあの神社を思い出す。
疲れた~と灯里が言うと晃人は灯里を軽々と負ぶってくれた。
晃人の広い背中からはいつもお日様の匂いがした。
と、昔を思い出しながらゆっくり登っていると。
「……灯里?」
階段の下から聞こえた声に、灯里ははっと振り向いた。
見ると、下の方から晃人が昇ってくるのが見える。
「晃くん……」
まるで昔に戻ったようなその光景に、灯里は思わず息を飲んだ。
晃人は階段を登り、灯里の横に立つ。