悪魔のようなアナタ【完】
ロビーへと駆け込んだ灯里は呆然としたまま肩で息をした。
一体、何が起こったのか?
灯里は震える手で無意識のうちに唇に触れた。
「……」
玲士の唇が自分の唇に触れた……。
それは一般的には……。
「……キス?」
唇に触れている指が小刻みに震える。
灯里はコクリと息を飲んだ。
あまりの衝撃にその前後の玲士の言葉は吹っ飛んでいる。
なぜ玲士は自分にキスしたのか?
灯里は混乱のあまり思わず頭を抱え込んだ。
――――わけがわからない。