悪魔のようなアナタ【完】
何かの儀式の一環か、それとも新手の嫌がらせなのか?
あるいは下僕に対するマーキング、もしくは捕食か?
などと思いつつも、頭のどこかでは『明らかに違う』と認識している。
けれど違うのであれば、一体何なのか?
その先を考えるのがなぜか怖い。
灯里は先ほどの玲士の言葉を思い出した。
『お前は……好きなの? あいつのこと』
いつもの冷静な声とは違う切羽詰まった声、切なげな瞳……。
玲士の瞳を思い出すとなぜか胸がドキドキする。
まさか、玲士は……。
一瞬頭によぎった可能性に灯里は背筋を強張らせた。
その可能性を脳内で問答無用で瞬殺し、ハハと乾いた笑いを口元に浮かべる。
「いや、ありえないよね……まさか……」