悪魔のようなアナタ【完】



灯里はぶんぶんと首を振った。

これまでの自分に対する悪魔っぷりを考えるとそれは絶対にありえない。


もし百万が一、玲士が自分のことを好き……ならば。

好きな相手にサルとかミジンコとか言うだろうか?


「……ないないない。ありえない」


考えれば考えるほど混乱してくる。

灯里は玲士のことを悪魔だという以外に知らない。

たまに優しい面を見せたりもするが、玲士はいつも飄々としていて世の中の全てを醒めた目で見ている気がする。

厭世的とでもいえばいいのか……。


仕事面はともかく、プライベートはほとんど謎。

玲士が何を考えているのか灯里にはよくわからない。


「うーん……」


灯里は混乱のあまり頭を抱え込んだ。

そのとき。

灯里の後ろから聞き覚えのあるバリトンの声がした。


「灯里?」


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