悪魔のようなアナタ【完】
氷の瞳を思い出し、ぞぞっと灯里は自らの身を両手で抱きしめた。
美奈は何とも言えない表情で灯里を見つめていたが、やがて口を開いた。
「実は、水澤先輩って私の大学時代の先輩なんですよ」
「へぇ。そうなんだ」
玲士はこの地方では最も有名な国立大学を卒業している。
なかなかの難関で入るのも出るのも難しいと言われるところだ。
ちなみに灯里が卒業したのはそれより3ランクほど下の私立大学だ。
なぜ自分と玲士が同じ会社に入社したのか、正直よくわからない。
しかし玲士と同じ大学ということは美奈もかなり頭が良いのだろう。
見た目に反して意外な感じだ。
「学部は違いましたけどね。水澤先輩は経営学部、私は人文学部」
「へぇ……」
「でも水澤先輩、物凄い人気だったんですよ。違う学部でしたけど水澤先輩のことは私も知ってました。まさか同じ会社になるなんて思ってもみなかったですけど」