悪魔のようなアナタ【完】
5.桃争奪戦
翌日の10:00。
一行は寒河江のフルーツパークにいた。
フルーツパークは季節によって収穫できる果物が違い、8月の今は桃の最盛期となっている。
「灯里ちゃん、こっちにいっぱいなってるよ~」
灯里は山岡課長とともに桃園の端の方で桃を選んでいた。
枝からぶら下がっている桃はどれも濃いピンク色で美味しそうだ。
葉の裏に隠れている桃や木の枝に隠れている桃を、ひとつひとつ見ながら選んでいくのは宝探しみたいで楽しい。
「どういうのが甘いんでしょうかね?」
「ぼくはあまり詳しくないからな~。とりあえず大きくて赤いのを狙っていこうかな」
山岡課長が手にした籠には既に美味しそうな桃が3つほど入っている。
この桃園は桃狩りで取った桃を一人5個まで持って帰ることができるらしい。
家内に頼まれていてね~と言いながら桃を選ぶ山岡課長はとても楽しそうだ。
その笑顔を見ているだけで、円満な家庭なんだなというのがなんとなくわかる。
「うーん……」