悪魔のようなアナタ【完】
「あたしの桃にナニしてくれてんのアンタ――――!!」
「何って。ここ桃狩りでしょ。取った桃を食べてるだけ」
「だからその桃はっ……ふぐっ」
言いかけた灯里だったが、玲士が手にしていた桃を口に突っ込まれ言葉を飲んだ。
桃の果汁の甘さが口いっぱいに広がる。
目を白黒させる灯里に玲士はくすりと笑った。
「もう味見したから。後はお前にやるよ」
「……っ」
「ほら、ちゃんと持ちなよ。落とすよ?」
玲士の言葉に灯里は慌てて桃に手を添えた。
見ると、玲士が齧った部分に口をつけている。
となるとこれは、いわゆる間接キスというやつだろうか?
「……」